2025年度いわき地域環境活動発表会の開催報告
当NPO法人の主催で、12月13日、地域の環境保全活動に取り組む団体等による発表会をパルシステム福島みんなの交流館で開催した。18名の参加があり、各種団体からの環境活動や研究活動の発表と意見交換が行われた。各団体からの発表のタイトル、発表者(所属):概要については以下の通りである。
〇「子どもたちの笑顔が見える夏井川をめざして」、田中博文さん(夏井川流域住民による川づくり連絡会):夏井川流域ネットワークは、2000年設立の住民主体の環境保全団体で、継続的な水質調査や川遊び、環境学習支援、地域交流、防災活動など多様な事業を通じて夏井川流域の水辺環境の保全と活性化を図り、地域住民の安全で楽しい水辺利用を推進しており、各種事業の内容が紹介された。
〇「地域の宝 -いわきの鳴き砂」、桶田隆司さん(NPO法人いわき鳴き砂を守る会):いわき地域における「鳴き砂」の保護と調査活動について、NPO法人いわき鳴き砂を守る会のこれまでの歩みに加えて、鳴き砂の形成過程や地質的背景、分布状況、清掃活動や学習支援、調査結果の概要が紹介された。東日本大震災前後の海岸調査や粒度分布の分析を行い、鳴き砂の鳴き方の変化を把握して4冊の報告書が発行されたことも紹介された。いわき地域の鳴き砂は太平洋側のほぼ南限に位置し、震災にも耐えた貴重な自然遺産であることから、今後も市民と共に保護活動を継続し、未来へつなぐ必要性があることを強く訴えていた。
〇「生活協同組合パルシステム福島 -環境委員会の活動」、和田佳代子さん(パルシステム福島環境委員会):パルシステム福島環境委員会は1993年に設立され、省エネやゴミ減量、自然観察、放射能測定など幅広い環境活動を行い、グリーンカーテンコンテストや見学会、講習会など年間を通じた多彩な企画で組合員の環境意識向上に努めているが、今後は参加者減少や委員の高齢化といった課題に対応しつつ、継続的な活動機会の提供と情報発信を強化していくことを目指していることが紹介された。
〇「付着藻類を活用した排水処理水からの栄養塩除去の検討」、松本祢音さん・高荒智子さん(福島高専・都市システム工学科):いわき市の浄化槽処理水中の栄養塩除去に付着藻類を活用し、異なる窒素/リン比や藻類密度が硝酸性窒素の吸収に与える影響を実験的に検討し、付着藻類が低コストで効果的な硝酸除去手段となる可能性を示した。
〇「いわき市内のナガエツルノゲイトウの生息状況と対策について」、吉田真弓さん(NPO法人いわき環境研究室):いわき市内のナガエツルノゲイトウは強い拡大力と再生力を持ち、水流による断片の拡散で広範囲に繁殖するため、水系単位での監視と防除において地域連携による取組の必要性が強調された。報告の中では、鮫川と蛭田川の各流域における今後に向けた小規模防除活動の結果から得られた知見等が紹介された。
〇「ジオラマとワークシートの活用 -アンケートでみた水防災の支援学習での子供たちの反応」、和田隆さん(NPO法人いわき環境研究室):ジオラマや実験模型、ワークシートを活用し、小学生を対象に流域や分水界、森の保水力、川の流れ、砂防ダムなどの水防災に関する理解を深める授業を行い、アンケート結果から命を守るための基本的な知識は定着している一方で、専門的内容の理解や教材の平易化・工夫が今後の課題として示されたことが紹介された。
〇「児童向け脱炭素リテラシー学習とその学習支援 -いわき市ゼロカーボン人づくり公民連携事業」、原田正光さん(NPO法人いわき環境研究室):いわき市における令和6年度の児童向け脱炭素リテラシー学習とその支援事業の実践報告であり、好間四小や平四小などでの水環境・生き物学習や自然エネルギー学習、防災学習の実施内容、児童の理解度向上や課題、及び令和7年度に向けた省察的学習の実践と評価の方針が紹介された。
各発表に対して、今後の活動における参考となる貴重な質問やコメントも活発に寄せられた。発表会を通じて、各団体の継続的な取組により、地域の自然資源や生態系の保護、環境教育、防災意識の向上、脱炭素社会の実現に向けた実践的な活動が行われている状況を知ることができた。一方、各種事業における参加者の減少や高齢化、専門的内容の伝達手法など、今後の課題についても知ることができた。世代や組織を超えた連携の強化や、地域住民の主体的な参加や学びを進めていくことなど、持続可能な地域づくりを目指す必要性についても再認識する機会となった。

